占い師の怪談(9)「追ってくる・・・」



追ってくる・・・

オイラ的にさ、この話をここに書くのは躊躇いがあってさ、それで今まで未発表にしていたんだけれど、そろそろ大丈夫かと思って書いてみる事にしたよ。

もう10数年前になるのかな、その頃、蒸し暑い夏にね、墓場で友人と肝試しした事があるんだ。

某所の奥地にある、某霊園なんだけれど、ここはさ、供養塔前で亡霊を見たり、カーブミラーに顔が張り付いてたりするって話があってさ、確かめに行ったんだ。

オイラと友人は、車に乗り込んで市街地を抜け、山間部に向かい、程なくして現地に到着したわけだよ。そこは鬱蒼と木が茂る山奥にあってさ、そこに至る道は昼間でも単独では行くのを躊躇うような雰囲気なんだよね。

時間は夜の7時、とりあえず二人とも車から降りてそのミラーの近くで車から降りて歩いたんだよね。ハッキリ言えばオイラ達は舐めきっていたワケよ。これからどんな事があるかも考えずにね。


F:「おーこれか〜!」
友:「そうそう、やっぱし夜ってのは怖えぇな〜」


そんなこんな言って、大声で脅かしたり、不気味な声をわざと出したりして遊んでたワケだよ。でもね、何だか変な気配がするのよ。森の中から見られてる、みたいな・・・。でさ、それが後ろだって気が付いたんだよね。一応、振り返ってみたワケだ。

そこにはね・・・
























まあ、なんにもいなかったんだ。

ホッとしてさ、まあ、とりあえずもっと近寄って見てみようって話になったんだ。そいで、また歩き出したわけ。

でもね、やっぱり後ろの方から気配がするんだよ。なんつーか、粘り着くよーな、肌が一部分だけチリチリするような感覚がさ。

やっぱり見られてる・・・。

耐えられなくなって、もう一回振り返ったわけさ。

振り返った後ろの方には、一瞬ふっと黒い影があったような気がしたんだけれど、やっぱりなんにもいないんだよね。

振り返った首を元に戻したらさ、まあ、目の前にいたわけじゃないんだけど、なんだか友人がアワアワしながら前を指さしてるんだわ。ソイツが指さす先に問題のミラーがあったんだけど・・・ミラーはなんの事はない、普通にあるワケよ。

丁度角度は、オイラ達が映る方向だから正面にいたんだよな。オイラ、何ともないじゃんと思ったワケよ。


F:「んっ?」


よく見てみるとヘンなんだ。中にはオイラと友人の姿が映ってるんだけれど、それ以外に・・・
























 
鏡の中のオイラ達の背後には、包丁持った女が笑いながら映ってた・・・。

結構暗いはずなのに、燐光で浮かんでいるみたいな感じでさ、年の頃は30代前半。服装は赤いカーディガンに柄物のスカート姿。

手には柳刃包丁・・・。


F・友:「うげっ!!」


ヤバイと思って後ろを振り返ったんだ・・・。
けれど・・・そこには何もいないのよ。

でも、もう一回ミラーの方を見ると映ってるんだ。今度は包丁を振りかぶって!!

そこからはパニックだった。

まずはマッハで車に乗り込んで、急発進で逃げたんだ。もう無我夢中だよ。

しばらく走って、1劼阿蕕け鵑兇ったトコロで一応気分が落ち着いたんだけれど、カーブ曲がって通過する時に、オイラ見ちゃったんだよ。

何の変哲も無いカーブミラー・・・。

でもね、カーブミラーにはオイラ達の車と、その車を追うように走ってる女が映ってた・・・。

F:「うげええっ!」
友:「な、何だ?」
F:「ミラーが!ミラーが!あわわわわ」
友:「落ち着け!何なんだ?」
F:「カーブミラーの中を追ってきてるんだよ!!」
友:「!!!」

そっから必死に走ったワケよ。全てのコーナーは四輪ドリフトで走り、ストレートでは床までアクセルを踏んだ。

でもね、カーブミラーがある度に追ってきてるのが分かるのよ。バックミラー見ても追ってきてる姿は見えない。同じミラーなんだけれどカーブミラーだけに映るのよ。

そう・・・ずっと追ってきているんだ・・・

スピードを上げたんだけれど、カーブミラーに映るその女との間隔が離れないんだ。逃げても逃げても消えない!

その山奥の林道はさ、そのまま進むと箱根に続いてて、しばらくして箱根に入ったんだけれど、結局箱根のカーブミラーにも全部映るんだ。

その女が包丁振り回しながら追いかけてくるのが・・・。

だから停まれないんだ。一旦停止や信号は全部無視するしかない。だって停まったら追いつかれちゃうじゃん。ただ、不思議な事にこっちがユックリ走っても間隔が縮まらない事だけが救いだった。

でね、結局、箱根を走っている間中追いかけられて、最後には箱根を降りて麓の寺に逃げ込んだんだ。そこはさ、知り合いの坊さんのいる真言密教の寺なんだけれど、そこしか逃げ道がなかったわけだよ。だってそのまま家に帰ったらやばそうじゃん。その寺に入っていったらさ、車が入ってきたのに気付いた坊さんが出てきたんだ。

坊さんはオイラ達を見た瞬間、怖い形相になって観音経を唱えだしたよ。普通、観音経なんて唱えないじゃん。せいぜい般若心経とか、その程度のはずなのに、観音経唱えてその後、九字切ったんだ。

でさ、その後、印を結んだ瞬間、オイラ達の背中から・・・・

ギャ〜〜〜ッ!

まるで黒板に爪を立てた時のような、女の気持ち悪い叫び声・・・。

その後聞こえちゃったんだ。

「もう少しで殺してあげたのに・・・・」

・・・坊さんに感謝したよ。スゲー説教されたけど。(苦笑)

これは今まで未発表だったんだよね。
だってさ、聞かせちゃったらそっちに行っちゃいそうじゃん。

読んだ人のトコロの近くのカーブミラーにさ・・・。

坊さんも言ってたもん。今回はたまたま払えたけれど、いなくなったワケじゃないから二度と行くなって・・・・・・あのカーブミラーのトコロにはもう二度と。

多分、あれはカーブミラーのある所には移動出来るんだと思う。だから、カーブミラーの近くでその話を思い出すとそこへ行くかもしれないね。読んだ皆も気を付けてね。

しかし、いまだにあれは何だったのか分からない。坊さんも詳しくは言わなかった。他にも怖い話は沢山あったが、正直、この封印していた事件には敵わない。もう一回体験してしまったら、この時みたいに逃げ切れるのだろうか・・・。



(最終更新2004/08/16/Mon/23:12:48)






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