恋愛と言ふもの…(4)



第一話


芝生に寝転んで空を見ていた。

雲が流れ、風が土手を渡っていく。

気の向くままにいろいろな事を考えていた。

昨日あった事や、これからの事や、雲の行き先とかね。

足元に子犬がじゃれついてきた。
俺は起き上がり、
さっきまで食べていたパンの残りをちぎってあげた。

「ごめんなさい。」

急な声に驚いて見上げるとそこには女の子が居た。

「いや。かわいいね。」

「はい。タツロウっていうんです。」

「そうか。ここら辺の人かい?」

「この土手の向こうなんです。」

「そうか。」

女の子は隣に腰を下ろした。

「ずっと雲を見ていたんですか?」

「まあね。」

「私、いつもここで散歩させてるんです。」

「ここは広いし放せるしね。」

「たまにあなたも来て寝転がってますよね。」

「ああ。考え事があるとここで寝転ぶのさ。」

「家の窓からたまに見かけて、いつも何見てるんだろうって思ってました。」

「ははは。いろんなことさ。」

「さて、私はそろそろ家に帰らなきゃ。」

「俺も行かなきゃ。」

「また会えるといいですね。」

「そうだね。」

俺は立ち上がり土手を後にした。
また彼女に会えることを祈りつつ…。

to be continued


(最終更新2004/08/06/Fri/21:59:38)



第二話


久しぶりに空が見たくなって川原に行くと、
あの時の彼女が夕焼け空を見ていた…。

俺は声をかけ、隣に座った

「久しぶりだね。」

「あ、あの時の…」

どうやら彼女は覚えていてくれたようだ。

「あの時の犬は元気かい?」

「今日はお家でお留守番なの。」

隣に座る彼女の表情は、愁いを含んで、
夕暮れが映るその瞳は何故か沈んで見えた。

しばらく沈黙が支配した。

俺は俺の空を見て、
彼女は彼女の空を見ていた…。

「もしよかったら、これから呑みにいかないか?」

誘ったのは俺だった。
彼女は黙って頷いた。

遠くの方で鴉が哭いていた…。

to be continued


(最終更新2004/08/06/Fri/22:00:03)



第三話


夜になり、そして朝になった…。

朝の光の中で俺は目覚めた。
隣で彼女が眠っていた。
起こさないようにそっとベッドを出た。

窓から見える並木道は霞み、鳥のさえずりが聞こえる。

「起きたの?」

「ああ。」

「まってて、コーヒー入れるわ。」

しばらくするとトーストの焼ける香りと、
コーヒーの香りが漂ってきた。

 悪魔のように黒く
 地獄のように熱く
 天使のように純粋で
 恋のようにほろ苦い

昨日の記憶がゆっくりと蘇っていた…。

記憶の中の酒場は、煙草が煙っていた。
俺はショットグラスを、彼女はカクテルを…。
彼女は彼女の身に起こった事を話し、
俺は黙って聞いていた。
ひとしきり話した後、彼女はハンカチを使い、
俺はズブロッカを胃に投げ込んだ。

ふと気がつき目を上げると、
そこには朝の光を浴びた彼女が微笑んでいた…。

to be continued


(最終更新2004/08/06/Fri/22:00:15)



第四話


レースを二人で見に行った。
空はピーカンで澄み渡っていた。

久しぶりに見た彼女は前よりも少し大人びている。
結局あの後付き合うことをお互い言えなくて、
中途半端なままでいた…。

レースは中盤にさしかかり、
混戦の中三台が抜け出していた。
白煙を上げ火花を散らし、コーナーを曲がっていく。

俺は意味もなくその中の選んだ一台が優勝したら告白しようと思った。

最終コーナーをレースカーが通り過ぎた。
あと少しだ。
最後のストレートを見ながら息を飲む。
レースは終了した。

俺の選んだ車はチェッカーフラッグを受けられなかった…。

空はピーカンで澄み渡っていた。
あのレース場も今はもう無い…。

end


(最終更新2004/08/06/Fri/22:00:28)






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