恋愛と言ふもの…(9)



第一話
まだ20代の頃・・・そう、暑い夏の日だった。

その日、俺は友人2人と海に出かけていた。
陽射しは砂を焦がし、ビーチパラソルが花畑のように開いている。
波打ち際で子供達が遊び、それを見守る親達は疲れていた。

何人かの女の子だけのグループに声を掛け花畑を移動する。
しばらくして俺達は3人グループの女の子達と仲良くなった。
彼女達は近くのプチホテルに泊まり、この海に遊びに来ていたようだ。
彼女達の隣に荷物を移動させ、シートを敷き、パラソルを開く。
珍しそうな顔で彼女達は見ていた。
そして合計6人で海に入り泳いだり水を掛け合ったり、
ビーチボールで遊んだりした。

俺はその中の1人が気に入ってしまった。
彼女の笑顔に嬉しさを感じ目で追う。
時たま視線が重なり彼女は笑う。
印象的な目が魅力的な笑顔だった。

ひとしきり遊び、泳ぎ疲れた俺達は彼女達をドライブに誘った。
車3台に分乗し観光地を廻る。
俺の隣には、あの彼女が乗っていた。
色々話すうちに、彼女がやっている仕事の話になった。
彼女は水泳のインストラクターをしていた。
スイミングスクールの生徒の話やその設備の話、
泳げなかった頃の昔話をしてくれた・・・。


(最終更新2005/05/23/Mon/01:30:40)



第二話
夕暮れ…
俺は彼女を誘い、砂浜に連れ出した。
そこは湾になっていて、打ち寄せる波は穏やかだった。
昼間に混んでいたのが嘘のように静かで、
遠くに船が浮かんでいる…。
話しながら俺と彼女は歩いた。
二人で岬の灯台まで歩き、そのベンチに腰を下ろす。
他愛もない会話が途絶え、彼女は目を閉じた。


(最終更新2005/05/23/Mon/01:42:44)



第三話
時は流れ…



季節は何時の間にか冬となった。
二人は山間の宿に来ていた。
山菜や鹿肉に舌鼓を打ち、
星を仰ぎながら岩風呂に浸かった。
辺りは静寂に包まれ、遠くで鵺の声が聞こえる。

ふと目を覚ますと真夜中だった。
俺は眠る彼女を残し、川辺を散歩した。
夜風は凍てつき体に刺さる。
背中合わせに寝る彼女との間に吹くような…。
手摺に凭れ河を見る。
川面に深深と雪が降る。
逆流する事が無い河が、
暗く深く流れてゆく…。


(最終更新2005/05/23/Mon/01:43:41)



第四話
季節は春になり、また夏が来た。



二人の間は冷えていた。
お互いがお互いにとってプラスではなくなり、
惰性が二人の心を支配していた。
次第に二人は逢わなくなっていった…。



俺は夜の灯台にいった。
海を眺め、溜息をつく。
煙草を捻り潰し車へと戻った。


(最終更新2005/05/23/Mon/01:44:33)






[BACK]
shiromuku(hu)NOTEBOOK version 1.00